この記事でわかること
- ラージブラストの基本スペックと設計思想
- ラージボール用ラケットとして何が秀でているのか
- どんなプレイヤーに向き、どんな選手には合わないのか
- 同じニッタクのラージインパクトとの違いと選び分け
ラージボールを始めたいけれど、ラケット選びで止まっていませんか。硬式と何が違うのか、何を基準に選べばいいのか、最初は本当に迷うところです。今回は「ラージのニッタク」と呼ばれるブランドが満を持して送り出した一本、ラージブラストを、用具に詳しい立場から細かく見ていきます。読み終える頃には、自分に合うかどうかの判断材料がそろっているはずです。
ラージブラストの基本スペック
まずは数字で全体像をつかみましょう。スペックは公式HPで確認済みの値です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メーカー | Nittaku(ニッタク/日本卓球株式会社) |
| カテゴリ | シェークハンドラケット(ラージボール用) |
| 希望小売価格(税込) | ¥9,900 |
| 板構成 | 木材5枚+極薄カーボン2枚(アウタータイプ・7枚合板) |
| 板厚 | 6.7mm |
| 重量 | 82g ±(個体差あり) |
| ブレードサイズ | 157×150mm |
| グリップ形状 | FL(フレア/100×24.5mm)、ST(ストレート/100×24mm) |
| 商品コード | NC-0415(FL)、NC-0416(ST) |
| 打球感 | やや硬め |
| スピード感 | ミッドファースト |
ポイントは三つです。82gという軽さ、6.7mmという厚めのブレード、そして極薄カーボンをアウター配置にしている点。この組み合わせが、ラージブラストの性格を決めています。
ラージボール用ラケットは、硬式と比べて少し「弾むように」設計されているのが基本です。ボール自体が直径44mmで重く、空気抵抗も大きいため、硬式と同じ感覚では球が飛ばないからです。ラージブラストは、その「飛ばしにくさ」を厚板+カーボンの反発で補い、しかもラケット自体は軽くまとめるという、ラージボールの本質をよく押さえた一本に仕上がっています。
ラージブラストの特徴・レビュー
ラージブラストを一言で表すなら、「振り遅れないラージボール用ラケット」です。
ラージはラリーが続く競技なので、ラケットを振る回数が硬式より多くなります。一発で決まらないからこそ、フォアからバックへの切り替え、ツッツキからミート打ちへの切り替え、その全部の動作がスムーズに繋がるかが勝負を分けます。ラージブラストは、そこを軽さと板構成で支えてくる設計です。
特徴①:82g台の軽量設計で振り抜きが楽
ラージボール用ラケットを選ぶうえで、軽さは何より重要な要素です。ラージブラストは公称82g±と、ラージボール用シェークの中ではかなり軽い部類に入ります。
実際に手に取ると、硬式の主力モデル(85〜90g台)に慣れている人は最初に「軽い」と感じるはずです。この軽さが効くのは、長時間プレーするときのフォア打ちと、台の中央に戻すフットワークのとき。腕が疲れにくく、スイング後の戻りも速いので、相手の球を待てる時間が長くなります。
ラージは年配層に人気のある競技ですが、年齢を問わず「90分のダブルス練習を回す」ような場面は珍しくありません。そのときに腕が残るかどうかは、ラケット重量に大きく左右されます。ラージブラストは、その点で安心して長く使える一本です。
特徴②:厚め板+極薄カーボンで「失速しにくい打球」が出る
板厚6.7mmは、ラージボール用としては中〜厚めに分類される数値です。ここに極薄のカーボンを2枚アウター配置で挟むことで、芯にしっかり当てたときの飛びを底上げしています。
ラージボールは硬式と違って回転がかかりにくく、ラリー後半にボールが失速しやすい競技です。台の上で「あと一歩、相手のバック深くまで届かせたい」という場面で、板の弾力だけに頼ると押し負けることがあります。ラージブラストは、この「ラリー後半の伸び」をカーボンの反発で支える設計になっており、決定打のスピードを底上げしてくれます。
打球感はやや硬めですが、極薄カーボンなのでカーボン特有の「ピンッ」と弾く感じは強くなく、木材の感触を残したまま速度だけ足されているような印象です。ラージボール特有の柔らかい打感を完全に消したくない人にも合います。
特徴③:アウター配置でスイートスポットが広い
カーボンをアウター(板の外側に近い位置)に配置すると、芯を外したときの反応が安定します。インナー配置だと「芯に当てたときの一撃」が伸びる代わりに、外したときの誤差が大きく出やすい性格になります。
ラージブラストはアウターなので、フォア面の少し上で当てても、下で当ててもボールがしっかり前に飛びます。ラージボール特有の「やや浮いてくる球」をミート気味に叩く場面では、このスイートスポットの広さが効いてきます。スマッシュの連打、台から少し下がってのミート打ち、いずれも安定したスピードで返球できます。
特徴④:FL/STの2グリップ展開で手にしっくりくる方を選べる
ラージブラストはフレア(FL)とストレート(ST)の両方が用意されています。グリップ寸法はFLが100×24.5mm、STが100×24mmと、ほんのわずかにFLの方が太く設計されています。
握りで悩むなら、ラージから入る人や女性プレイヤーにはFL(フレア)が無難です。手のひらに自然に収まり、握り直しを意識しなくてもスイングが安定します。一方、ペンから移行してきた人や、自分でグリップの角度を細かく調整したい人にはST(ストレート)が向きます。指先で操る感覚を残せるので、台上の細かい返球がやりやすくなります。
ラージブラストのデメリット・注意点
正直に書きます。ラージブラストは万能ではありません。ここを理解したうえで選ぶと失敗が減ります。
- デメリット①:トップエンドの飛びは控えめ
同じニッタクのラージインパクト(¥35,200)や、ジュエルラージのような上位帯と比べると、最高速度の伸びはどうしても一段階下になる。¥9,900という価格を考えれば妥当な性格だが、「攻撃で押し切りたい」上級者には物足りなく感じる場面が出てくる
- デメリット②:硬めの打感が好みを分ける
極薄カーボン入りのアウタータイプなので、打球感は木材5枚合板より硬めに寄る。コントロール重視で「球を掴む感覚」が欲しい人には、最初の数日違和感が残る可能性がある
- デメリット③:硬式との併用は微妙にチューニングが必要
ラージ用らしく弾むように作られているため、硬式のラバーをそのまま貼って硬式の練習に使うと、感覚が大きくずれる。基本的にはラージ専用機として使うのが素直
- デメリット④:重量の個体差はある
公称82g±の表記どおり、店頭の在庫によっては80g前後〜85g前後までばらつく。可能なら専門店で計量してもらってから買うと安心
こんな選手におすすめ
- ✅ ラージボールを始めたばかりで、最初の1本に迷っているプレイヤー:軽くて振り抜きやすく、扱いに困らない設計
- ✅ 長時間ラリーする年配層・社会人サークル層:90gを切る軽量設計なので、練習会の最後まで腕が残る
- ✅ 硬式からラージに切り替えてきた中級者:木材+カーボンのバランスが硬式の感覚に近く、移行のショックが少ない
- ✅ スマッシュ・ミート打ちで点を取りたい速攻寄りのプレイヤー:板の反発が前向きに働き、決定打が伸びる
- ✅ 1万円以内で「ちゃんとした」ラージ用ラケットを探している人:価格と性能のバランスが取れた中堅機
こんな選手には向いていない
- ❌ 上級者でカット・ブロック中心のディフェンス型:球を持つ感覚が欲しいなら、もう少し板厚を抑えた木材合板の方が合う
- ❌ 「最高クラスのスピード」を求める競技志向の選手:上位帯のラージインパクトやジュエルラージの方が満足度が高い
- ❌ ラケット重量85g以上の重さに慣れていて、ヘッドの重さでドライブを打つタイプ:軽すぎて物足りなく感じる
ラージブラストを使ってみての印象・評判
実際に打ってみると、「とにかく素直に飛んでくれる」という言葉がよく当てはまります。ラージボールは硬式と比べて回転で押し込む競技ではなく、ボールの軌道とコース取りで点を取る競技です。だからこそ、振ったぶんだけ素直にスピードが出るラケットの方が、戦術を組み立てやすくなります。
軽量と厚板の組み合わせなので、ラリー中のフォア・バックの切り替えしが軽快に決まります。バック側にツッツキで返してきた相手の球を、すぐにフォアに回り込んでミート打ち、そのまま戻ってバックブロック、という一連の流れが疲れずに繰り返せる。これがラージブラストの一番の持ち味です。
打球音は、木材合板のような「コーン」という低音ではなく、「カキン」に近いやや高めの音になります。極薄カーボンの効果で、当たった瞬間に球の出ていく方向がはっきり分かる感覚です。慣れれば、コースを狙う精度が自然と上がっていきます。
一方で、気になる点もあります。スピン重視のループドライブには向きません。ラージはそもそも回転がかかりにくい競技ですが、それでもツッツキ合いから持ち上げてループ気味に回したいという場面はあります。そのときに、板が弾く方向に働きすぎて、スピンより球速が出てしまう。コントロールはしやすいので大きく外すことはありませんが、「擦って持ち上げる」打ち方とは相性がそこまで良くありません。
総じて、ミート打ち・スマッシュ・ブロックでラリーを組み立てるタイプには文句なしの相棒になります。逆に、回転で揺さぶるタイプには別の選択肢を見たほうが幸せかもしれません。
ラージインパクトとの比較:ニッタクのラージ用ラケットをどう選び分けるか
ニッタクのラージ用シェークラケットには、上位モデルとしてラージインパクトがあります。同じメーカーの兄貴分なので、よく比較対象に挙がります。
| 比較項目 | ラージブラスト | ラージインパクト |
|---|---|---|
| 価格帯(税込) | ¥9,900 | ¥35,200 |
| 板構成 | 木材5枚+極薄カーボン2枚 | 木材3枚+特殊素材2枚(PBOC+桐) |
| 板厚 | 6.7mm | 7.4mm |
| 重量 | 82g± | やや重め(公式詳細参照) |
| スピード感 | ミッドファースト | ニッタクのラージ用最速クラス |
| 打球感 | やや硬め | 直線的で抜ける球質 |
| こんな人向け | これから始める/練習量の多いプレイヤー | 決定打で押し切りたい上級者・大会志向 |
価格差は3.5倍以上あります。シンプルに言うと、「迷ったらラージブラスト、ラージで結果を出したいならラージインパクト」という選び分けです。
ラージインパクトはPBOCという特殊素材と桐の組み合わせで、ボールを直線的に抜く設計になっています。決定打の速さは確かに段違いですが、その分扱いには慣れが要ります。一方ラージブラストは、誰が握ってもまずまず狙いどおりに飛んでくれる素直さが武器。最初の一本としてはラージブラスト、競技として勝ちにいくならラージインパクト、という棲み分けで考えると分かりやすいでしょう。
予算がそこまで厳しくなく、サークルや市民大会で勝ち上がりたい中級者なら、ラージブラストで十分戦えます。地区代表クラスを目指すならラージインパクトに手を伸ばす、というラインで選ぶと後悔が少ないです。
価格・購入先
ラージブラストは希望小売価格¥9,900(税込)です。実売は通販各社で値引きされており、3割前後安く手に入る場面も少なくありません。
ラージボール用ラケットの相場は、入門帯が¥5,000前後、中堅帯が¥9,000〜¥15,000、上位帯が¥15,000以上というのが大まかな構造です。ラージブラストはちょうど中堅帯のど真ん中にあり、「最初に買って、しばらく使い続けても困らない」価格設定になっています。
| 購入先 | 特徴 |
|---|---|
| Amazon | ポイント還元と配送の早さが強み。Prime対応の出品もあり、思い立った日のうちに届くこともある |
| 楽天市場 | お買い物マラソン期間中はポイント10倍超になる店舗もあり、実質価格が下がる。卓球専門店の出品が多く、組み合わせラバーの相談ができる店もある |
| 卓球専門店(実店舗) | 重量を計量してから選べるのが最大のメリット。フィッティング含めて買いたいなら専門店一択 |
ラージブラストの場合、重量の個体差を気にするなら専門店で確認するのが安心です。逆に「とにかく早く欲しい、平均的な重量で問題ない」という人は通販で十分対応できます。
まとめ:ラージブラストはこんな人に買ってほしい
ラージブラストは、ラージボールというルール特性をきちんと理解した上で設計された、バランス型のラージ用シェークです。82g台の軽さで腕に優しく、6.7mmの厚板+極薄カーボンでラリー後半の伸びを支える。突出した一芸はないものの、ラージで必要とされる動作はひととおり問題なくこなせます。
ラージを始めたばかりで何を選べばいいか分からない人、長く練習に付き合える1本が欲しい人、硬式から移ってきて違和感の少ないラージ用機を探している人。これらに当てはまるなら、ラージブラストはまず候補に入れて損のない一本です。
逆に、競技として上を目指していて、最高峰の決定力が要るなら、上位のラージインパクトやジュエルラージを見たほうが満足度は高くなります。
ラージボールはラリーが続く分、用具との付き合いが長くなります。最初に「軽くて素直なラケット」で動作の感覚を作っておくと、その後どのラケットに乗り換えても基礎が活きます。その出発点として、ラージブラストは安心して勧められる一本です。試す価値は十分にあります。
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