この記事でわかること
- 樊振東 SUPER ALCの基本スペックと特徴
- どんなプレイスタイル・レベルの選手に向いているか
- 実際の打球感や評判で語られやすいポイント
- 通常版「樊振東 ALC」やビスカリアとの違い
- 購入を検討する際の判断材料
中国男子のエース・樊振東選手のシグネチャーモデルが、最新の素材技術で生まれ変わったのが「樊振東 SUPER ALC」です。通常のアリレートカーボンより反発力を高めた「スーパー アリレート カーボン」を搭載し、より攻撃的なプレーを支える1本に仕上がっています。とはいえ、価格も重量感も中上級者向けで、購入には少し勇気がいるラケットです。本記事では、樊振東 SUPER ALCの性能を整理し、どんな選手なら使いこなせるのかを掘り下げて解説していきます。
樊振東 SUPER ALCの基本スペック
スペックは公式HPで確認した数値を記載します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メーカー | バタフライ(Butterfly) |
| カテゴリ | 攻撃用シェークハンドラケット |
| 希望小売価格(税込) | 25,300円 |
| 板構成 | 木材5枚合板+スーパー アリレート カーボン2枚(特殊素材入り7枚合板) |
| 板厚 | 5.7mm |
| 平均重量 | 87g |
| ブレードサイズ | 157×150mm(レギュラー) |
| グリップ形状 | フレア(FL)/ストレート(ST) |
| グリップサイズ(FL) | 100×25×34mm |
| グリップサイズ(ST) | 100×23×28mm |
| 反発特性 | 12.1 |
| 振動特性 | 10.1 |
数字を見ても分かるとおり、特殊素材入りラケットの中では「弾むけれど振動も多め=打球感が残るタイプ」に分類されます。同じバタフライの「インナーフォース」シリーズが振動を抑えた設計なのに対し、こちらは外側にカーボンを配置するアウター仕様。打球時の感触がしっかり伝わるので、打点の感覚をつかみやすい構造です。
樊振東 SUPER ALCの特徴・レビュー
一言でいうと、「ビスカリアの系譜にあるアウター特殊素材ラケットの最新形」です。樊振東 ALCの方向性をそのままに、もう一段スピードと弾みを引き上げた1本と捉えるとイメージしやすいと思います。
特徴①:スーパー アリレート カーボンによる反発力の底上げ
このラケット最大のトピックは、新素材「スーパー アリレート カーボン」の搭載です。従来のアリレートカーボン(ALC)は、しなやかさと振動吸収のバランスに優れた素材として長年トップ選手に愛用されてきました。スーパー アリレート カーボンはそのしなやかさを残しつつ、反発係数を引き上げた改良版にあたります。
公式の反発特性は12.1。これはバタフライのラケット群の中でもかなり高い水準です。実際に打ってみると、特にフォアの強打やカウンタードライブで、相手コートに突き刺さるような直線的なボールが出やすくなります。中陣からのドライブで「あと一段スピードが欲しい」と感じてきた選手にとっては、その不満を埋めてくれる感覚があります。
特徴②:振動特性は据え置きで打球感が残る
公式の振動特性は10.1で、通常の樊振東 ALCとほぼ同等の値に抑えられています。ここが今回のモデルチェンジで重要なポイントです。
弾みを上げると、多くの場合は打球感がぼやけたり、ボールを「はじき返している」感覚に偏りがちになります。しかし樊振東 SUPER ALCは、反発力を上げつつも手元に伝わる打球感をしっかり残しています。打った瞬間に「今のはしっかりかかった」「いまのは少し当たりが浅かった」といった情報が手に返ってくるので、ドライブの精度を上げていく作業がしやすいラケットです。
特徴③:157×150mmのレギュラーブレードと87gのバランス
ブレードサイズは157×150mmと、バタフライの主要シェークの中ではやや大きめのレギュラーサイズ。スイートスポットが広く、多少打点がずれても安定したボールが出やすい設計です。
平均重量は87gと、特殊素材入りの中ではむしろ抑えめ。ビスカリアの平均重量(86g前後)とほぼ同等で、ラケット全体としては「振り抜きの良さ」と「打球の重さ」を両立しているクラスです。フォア・バック両ハンドで強打を打ち分ける現代卓球のスタイルとよく噛み合います。
特徴④:樊振東選手の「攻める姿勢」を反映したデザイン
グリップにはまっすぐなラインが入り、樊振東選手が常にゴールへ向かって攻め続ける姿勢を表現したとされています。前モデル「樊振東 ALC」のレッドカラーから、より落ち着いたトーンに変わっており、所有満足度の高い1本に仕上がっています。
機能面とは直接関係ありませんが、長く使い込むうえで「自分のラケットへの愛着」は意外に大事な要素です。試合で迷ったときにラケットを見て気持ちを切り替える、という選手は少なくありません。
樊振東 SUPER ALCのデメリット・注意点
魅力的な性能を持つラケットですが、誰にでも合う1本ではありません。正直な注意点も整理しておきます。
- デメリット①:硬めの打球感に最初は戸惑いやすい
スーパー アリレート カーボンを搭載したアウター仕様のため、打ち始めの頃は「思ったより硬い」と感じやすい設計になっています。柔らかい合板から乗り換えた場合、最初の数週間はループドライブの弾道や台上の感覚にズレが出ることがあります。慣れるまでに時間がかかるラケットです。
- デメリット②:前陣速攻には少し弾みすぎる場面も
反発特性12.1は、台に張り付いて早いタイミングで叩く前陣スタイルにとっては、やや過剰になる場面があります。前陣でブロックを多用するタイプは、ボールがオーバーミスしやすい傾向が出やすく、コントロール重視のラバーを組み合わせるなど工夫が必要です。
- デメリット③:価格が高い
希望小売価格は25,300円(税込)。ラケット単体としては、明確に「中上級向け」の価格帯です。ラバーまで含めると総額3万円台後半は覚悟する必要があり、初心者の最初の1本には向きません。
- デメリット④:扱いには一定のスイングスピードが必要
スーパー アリレート カーボンの反発を活かすには、しっかりスイングしてボールを食い込ませる必要があります。当てるだけのスイングだと、ラケット本来の性能を引き出しきれず「重くて弾むだけ」のラケットになってしまいます。
こんな選手におすすめ
- ✅ 中陣〜後陣からドライブで攻めるパワー型の選手:直線的な弾道とスピードでフィニッシュを取りに行きやすい
- ✅ 中上級者で、これまでビスカリアや樊振東 ALCを使ってきた選手:方向性を変えずに次の段階に進める
- ✅ フォア・バック両ハンドでドライブを打ち分けたい選手:スイートスポットが広く、両面で安定する
- ✅ 全国大会レベルやリーグ戦を戦う実戦派:試合で押し負けないスピードと球威が手に入る
- ✅ 粘着系ラバーと組み合わせて重く深いドライブを打ちたい選手:弾みが補完されてスピード不足を解消できる
こんな選手には向いていない
- ❌ 卓球を始めたばかりの初心者:反発が強く、まずは合板ラケットで基本を固める方が上達が早い
- ❌ 前陣でブロックとカウンターを軸に戦う選手:弾みすぎてミスが増える可能性がある
- ❌ 力で押すよりコントロールで勝負したい選手:硬さと弾みが過剰に感じられやすい
- ❌ 軽量ラケットでスイングスピードを稼ぎたい選手:87gはアウター素材入りの中では軽い方だが、絶対的には軽量ではない
樊振東 SUPER ALCを使ってみての印象・評判
ここからは、用具に詳しい立場から実際の打球感やよく耳にする所感をまとめていきます。
打ち始めて最初に感じるのは、「思ったより硬めだけれど、慣れるとボールがしっかり乗る」という印象です。最初のラリーで違和感を覚えても、5〜10分ほど打ち込むうちに、スーパー アリレート カーボン特有のしなり戻りがつかめてきます。粘着系ラバーや硬めのテンションラバーと組み合わせたとき、特にフォアハンドの打球で「重く深いボール」が安定して入りやすくなる、という声はよく挙がります。
ループドライブを打つと、回転量と弾道のバランスが整っていることに気づきます。ボールがネット際で一度沈み、相手コートで伸びるような弾道を作りやすく、相手のブロックを浮かせる場面が増えます。一方で、フォアスマッシュやミート系の打ち方で「思いきり叩く」場面では、しっかりスイングしないと板の硬さに負けて球離れが早くなりやすいです。回転をかけてボールを掴む打ち方の方が、このラケットの良さを引き出しやすい印象があります。
気になる点としては、やはり「最初の硬さ」と「弾みの強さ」です。前陣でカウンターブロック中心の戦い方をする選手や、ボールをコントロールしながら相手のミスを誘うタイプには、少しオーバースペック気味に映るかもしれません。中陣に下がりながらの両ハンドドライブで真価を発揮するラケット、という整理が素直だと思います。
通常版「樊振東 ALC」との比較
| 比較項目 | 樊振東 SUPER ALC | 樊振東 ALC |
|---|---|---|
| 価格帯 | 25,300円(税込) | 22,000円台(参考) |
| 特殊素材 | スーパー アリレート カーボン | アリレート カーボン |
| 反発特性 | 12.1 | 11.7 |
| 振動特性 | 10.1 | 10.0 |
| 板厚 | 5.7mm | 5.8mm |
| 平均重量 | 87g | 91g前後 |
| 打球感 | 硬めだが球持ちあり | しなやかで球持ち重視 |
| こんな人向け | スピードと球威の両立を狙う中上級者 | コントロール重視で粘りたい中上級者 |
両者の違いは、ひと言でいえば「同じ路線でアクセル側にチューニングしたのが SUPER ALC」です。樊振東 ALC で「もう少しスピードが欲しい」と感じる選手は SUPER ALC、逆に「弾みすぎて怖い」と感じる選手は通常 ALC を選ぶと、自分のプレースタイルに合いやすくなります。
ただし、SUPER ALC は通常 ALC よりも板厚がわずかに薄く、平均重量も軽めの設定です。これは「素材自体の反発が高くなったぶん、板厚と重量で抑え込んでバランスを取った」と読み取れる構成で、単純な上位互換ではない点は押さえておきたいところです。
ビスカリアSUPER ALCとの比較
同じスーパー アリレート カーボンを搭載するモデルとして、「ビスカリア SUPER ALC」も比較対象に挙がります。
| 比較項目 | 樊振東 SUPER ALC | ビスカリア SUPER ALC |
|---|---|---|
| ブレードサイズ | 157×150mm(やや大きめ) | 158×152mm前後(コンパクト寄り) |
| グリップ形状(FL) | 100×25×34mm | 100×24×34mm(やや細め) |
| 平均重量 | 87g | 86g前後 |
| 打球感 | やや硬めで球持ちあり | しっかり食い込む弾性感 |
| こんな人向け | 中陣〜後陣のパワードライブ型 | 前〜中陣のオールラウンド攻撃型 |
両モデルの違いは「ブレードサイズとグリップ感」に集約されます。ビスカリア SUPER ALC はやや細めのグリップとコンパクトなブレードで、振り抜きと取り回しの良さに振った設計。樊振東 SUPER ALC は、やや大きめのブレードと太めのグリップで、安定感と球威を取りに行く設計です。
「素材の方向性は同じ、それを活かすラケットの体格が違う」というイメージで比べると分かりやすいと思います。フォアの強打を主軸に攻めるなら樊振東 SUPER ALC、両ハンドの取り回しと素早い切り返しを優先するならビスカリア SUPER ALC、という選び方が現実的です。
価格・購入先
希望小売価格は25,300円(税込)。実勢価格は店舗やセール時期によって幅がありますが、ラケット単体で2万円前後〜定価近くの範囲に収まることが多い帯です。
| 購入先 | 特徴 |
|---|---|
| Amazon | 在庫が安定しやすく、Prime対応で発送が早い |
| 楽天市場 | ポイント還元やセール時にお得になりやすい |
| 卓球専門店(実店舗・通販) | 重量指定や貼り付け加工に対応してくれることが多い |
特殊素材入りラケットは個体差が出やすく、同じモデルでも数グラムの重量差で打感が変わります。可能であれば、専門店で重量指定して購入するのが一番安心です。とくに樊振東 SUPER ALC は平均87gと軽めのラケットなので、好みに合わせて85g前後の軽い個体、89g前後の重い個体を選び分けると、自分のプレーにフィットさせやすくなります。
まとめ:樊振東 SUPER ALCはこんな人に買ってほしい
樊振東 SUPER ALCは、「ビスカリア系のアウター特殊素材ラケットを使いこなしてきた中上級者の、次の1本」として完成度の高いラケットです。スーパー アリレート カーボンによる反発力の底上げと、しっかり残された打球感のバランスは、現代卓球の両ハンドドライブ型と相性が良い仕上がりです。
一方で、初心者や前陣ブロック中心のスタイルにはオーバースペック寄り。ラケットに振られる感覚があるうちは、まず通常の樊振東 ALCやビスカリア、もしくは合板ラケットで基本を固めてから検討する方が、結果的に上達は早いと思います。
「中陣からのフォアドライブで一発を取りたい」「両ハンドの威力を一段引き上げたい」と感じている中上級者なら、検討する価値が十分にある1本です。世界王者のモデルだから、ではなく、自分のプレースタイルにスピードと球威の足し算が必要だ、と感じるタイミングで手に取ってみてください。
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