この記事でわかること
- トレイバーCI OFFの基本スペックと合板構成の特徴
- KVLカーボン(インナー)が打球感とプレーに与える影響
- どんなプレースタイル・レベルの選手に向いているか
- アウター版のトレイバーCO OFF/Sや、同系統のラケットとの違い
ドイツメーカーandro(アンドロ)の「トレイバーCI OFF」は、ラザンターシリーズのラバーで存在感のあるアンドロが、特殊素材ラケットの看板として送り出してきた一本です。回転をかけたいけどスピードも欲しい、そんな欲張りな要望に応えるために、KVLカーボンをインナー配置した5+2の合板構成で設計されています。バタフライのインナーフォースALCを意識した構成と言われることも多く、似ているようで違うキャラクターを持ったラケットです。
このページでは、トレイバーCI OFFの合板構成・板厚・重量といった基本スペックから、実際に振ったときの打球感、向いている選手・向いていない選手まで、まとめて解説していきます。
トレイバーCI OFFの基本スペック
スペックは公式HPおよび代理店情報をもとに整理しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メーカー | andro(アンドロ) |
| カテゴリ | シェークハンドラケット(攻撃用) |
| 希望小売価格(税抜) | 12,000円(税込13,200円) ※流通価格 |
| 合板構成 | 木材5枚+KVLカーボン2枚(インナー) |
| 板厚 | 6.1mm |
| 平均重量 | 88〜89g(中国式は約82g) |
| ブレードサイズ | 157×150mm |
| グリップ | FL/ST/AN/中国式ペン |
| スピード | 94(メーカー表記) |
| コントロール | 97(メーカー表記) |
| 剛性 | 96(メーカー表記) |
| 発売時期 | 2018年7月 |
| 公認 | 日本卓球協会(JTTA)公認 |
KVLカーボンはアンドロ独自のカーボン素材で、攻撃用ラケットの「破壊力」と「安定感」を両立させる役割を担っています。これを中芯のすぐ外側、つまりインナー側に2枚配しているのがCI OFFの特徴です。
トレイバーCI OFFの特徴・レビュー
一言で表すと、「球を掴んでから素材で押し出す感覚」を、攻撃用ラケットの中で素直に味わえる一本。インナーカーボン特有のオブラートを一枚被せた木材感と、KVLカーボンの素直なスピードの組み合わせが、このラケットの個性です。
KVLカーボンを中芯寄りに配置したインナー仕様
トレイバーCI OFFは、ブレード中芯の両隣にKVLカーボンを2枚挟み込んだインナー構造です。インナーカーボンはアウターと比べて、上板の木材が打球面の感触を支配しやすく、球をつかんでから飛ばすニュアンスが残ります。
CI OFFも例外ではなく、軽打や台上ではしっかり木材の感触で受け止められます。一方でしっかり振り抜くと中のKVLカーボンがスピードを持ち上げてくれる、メリハリのある二段構えの飛び方をします。
ループドライブのように球を持ち上げて回転をかけたい場面と、強打でガツンと押し込みたい場面、どちらの要求にもバランスよく対応できるのがインナー仕様の良さです。
上板を厚めにして台上コントロールを高めた設計
このラケットがリリースされた際、アンドロは合板構成や形状、板厚を全面的に見直したと公表しています。中でも特徴的なのが、ブレードの上板をわずかに厚くしている点。
これにより、台上の細かいプレーで球が暴れにくくなり、ツッツキやストップで「板で球を止める」感覚が得やすくなっています。台上のコントロールを担保しながら、振り切ったときには素材で球を飛ばすという、矛盾しがちな2つの要求を1本にまとめている設計です。
板厚は6.1mmと、特殊素材ラケットとしてはやや薄め〜標準的なレンジ。極端に飛びすぎず、自分で振って弾ませるタイプの選手と相性が良いゾーンに収まっています。
スピード94・コントロール97のバランス設計
メーカー数値ではスピード94に対してコントロール97。トレイバーシリーズ全体で見ると、CI OFFは「スピード一辺倒」ではなく、コントロール寄りにチューニングされたモデルです。
実際に打つと、初速はインナーカーボンとしては速いと感じやすい部類。とはいえ、スピード一辺倒のアウターカーボンほどは弾みすぎず、こちらが振った分だけ素直に応えてくれる印象です。
回転をかけたい局面では木材の食い込みが効き、押し込みたい局面では中のカーボンが背中を押してくれる。プレースタイルにロックされにくく、戦型を選ばないバランス感が魅力です。
平均88〜89gで、特殊素材ラケットとしては扱いやすい重量
平均重量は88〜89g。特殊素材入りラケットとしては標準的で、極端に重い部類ではありません。
同じトレイバーシリーズでも、FIは平均90g前後・板厚6.8mmと厚めで、重さや剛性で押すキャラクター。それに対してCI OFFは、もう一段振り抜きやすい設計になっています。両面にテンション系ラバーを貼っても、過剰に総重量が膨らみにくいバランスです。
中国式ペンも用意されており、こちらは平均82g前後と軽量。ペン速攻寄りの選手にも選択肢として入ってきます。
トレイバーCI OFFのデメリット・注意点
良い面だけを並べても判断材料になりません。CI OFFを選ぶ際に、頭に入れておきたい点を正直に挙げます。
- 弾道がフラット寄り:インナーカーボンと聞いて「ふわっと孤線を描くドライブ」を想像する人にとっては、思ったよりも直線的に飛ぶ印象。球持ちはそこそこで、インナーZLC系に近い真っ直ぐな弾道とよく評されます。孤線の高さで安定させたいタイプには、好みが分かれる飛び方。
- バックでの食い込ませがやや難しい:球離れが速めの傾向があり、フォアの振り抜きでは合いやすい一方、インパクトが弱いとバック側で球をしっかり食い込ませにくい場面が出てきます。バックハンドで一発を狙うよりは、コースや回転で揺さぶるスタイルの方が相性が良い印象です。
- 流通量が安定しない:andro全般に言えますが、国内大手メーカーほどショップでの取り扱いが多くなく、欲しい木目・重量を選びにくいことがあります。重量指定で買いたい場合は、専門ショップで在庫を確認してからの購入が安全です。
- カマル・アチャンタ選手のラケット:使用選手として有名なのは元世界ランカーのカマル・アチャンタ選手で、トップレベル仕様の一本。とはいえ「上級者専用」というほど尖ってはおらず、扱いきれないラケットではありません。
こんな選手におすすめ
✅ 前陣〜中陣でミートとドライブを両立したい両ハンド攻撃型:球離れがそこそこ速く、振り抜いたときに弾道が直線的に伸びるため、テンポで押すスタイルに合う
✅ 5枚合板からのステップアップを考えているプレーヤー:木材感を残しつつスピードを底上げできる構成で、移行先として無理がない
✅ インナーフォース系のラケットが気になっている人:合板構成が似ており、味付け違いの選択肢として検討する価値がある
✅ 回転もかけたいがブロックの安定感も欲しい人:上板を厚めにした設計が、台上とブロックの両方を支えてくれる
こんな選手には向いていない
❌ ループドライブで大きな弧線を描いて繋ぐスタイルが軸の選手:弾道が直線的なため、孤線で安定させたい打ち方とはキャラクターが噛み合わない
❌ 食い込みの長い柔らかい打球感が好みの選手:球持ちは「そこそこ」で、深く食い込ませるよりも素材で弾く方向のラケット
❌ 軽量ラケット重視の選手:88〜89gは特殊素材としては標準だが、80g前後のラケットに慣れている人には重さを感じやすい
トレイバーCI OFFを使ってみての印象・評判
実際に打ってみると、まず気づくのは「初速の速さ」です。インナーカーボンと聞いて球持ちの良さを想像していると、思いのほかスパッと飛び出していく感覚で驚くことがあります。打球感は硬すぎず、木材で球を捉えてから内側のカーボンが押し出してくれる、二段階の感触として伝わってきます。
ドライブは、フラット気味に当てるとコツン、と小気味のいい音で勢いよく飛んでいき、振り切ったループでは木材のしなりを感じながら回転がしっかり乗ります。ツッツキやストップなどの台上では、上板の厚みが効いて球がブレにくく、コースを狙いやすい。ブロックも、当てるだけで前に飛んでくれる素直さがあり、相手のドライブを止めるよりは「カウンター気味に押し返す」方が活きるラケットです。
一方で、よく挙がるのが「弾道が真っ直ぐ」「球離れがそこそこ速い」という声。インナーフォースALCのような球持ちを期待して選ぶと、印象が違うと感じる場面があります。バックでの食い込ませにくさを指摘する声もあり、フォア主戦型・前陣ミート寄りのスタイルでより本領を発揮するラケットだと言えます。
トレイバーCO OFF/Sとの比較
兄弟モデルの「トレイバーCO OFF/S」と迷う人は多いはずです。両者は同じKVLカーボンを使いながら、配置位置が違います。CIはインナー、COはアウター。この違いだけで、性格はかなり変わります。
| 比較項目 | トレイバーCI OFF | トレイバーCO OFF/S |
|---|---|---|
| 価格帯(税抜) | 12,000円 | 14,000円 |
| カーボン配置 | インナー(中芯の両隣) | アウター(上板の下) |
| 板厚 | 6.1mm | 6.1mm |
| 平均重量 | 88〜89g | 87g |
| メーカー値スピード | 94 | 96 |
| メーカー値コントロール | 97 | 95 |
| 打球感の傾向 | 木材寄り・球を掴んでから飛ばす | カーボン寄り・当てた瞬間に弾く |
| こんな人向け | 回転とスピードのバランス重視、5枚合板からステップアップ | 軽打でも鋭い球を出したい、スピード重視 |
CO OFF/Sはアウターらしく、軽く当てるだけで球が鋭く飛ぶスピード重視のキャラクター。一方CI OFFは、自分で振って球を掴むひと工程が入る分、コントロールがつかみやすい。スピード一発の威力で押すならCO、回転とコントロールも欲しいならCI、という選び分けが基本になります。
価格・購入先
トレイバーCI OFFの価格は、税抜12,000円・税込13,200円が代理店流通価格として広く案内されています。andro製品は専門ショップ中心の流通のため、Amazonや楽天では取り扱い店舗・在庫が時期によって変動します。
| 購入先 | 特徴 |
|---|---|
| Amazon | プライム対応の出品がある場合は届くのが早い。流通価格は変動しやすい |
| 楽天市場 | 卓球専門ショップの出品が多く、重量指定に対応しているショップもある。ポイント還元と合わせるとお得になりやすい |
重量や木目にこだわりたい人は、専門ショップの実店舗または重量指定対応のオンラインショップを併用するのがおすすめです。
まとめ:トレイバーCI OFFはこんな人に買ってほしい
トレイバーCI OFFは、「回転もかけたいけど、ボールもしっかり飛ばしたい」という欲張りな要求に、KVLカーボンのインナー構成で応えようとした一本です。木材で球をつかんでから素材で押し出す二段階の感触、フラット寄りの直線的な弾道、台上での収まりの良さ。これらが合わさって、前陣〜中陣で両ハンドを振っていく選手にハマりやすい設計になっています。
孤線でつなぐループドライブ主軸の選手には少しキャラ違いに感じるかもしれませんが、テンポと押し込みで戦うスタイル、5枚合板からステップアップしたい人、インナーフォース系のラケットに興味がある人にとっては、十分検討に値するモデルです。
国内大手メーカーのラケットばかり試してきた人ほど、「ドイツメーカーのインナーカーボンってこんなに素直に振れるのか」と新鮮に感じるはずです。気になる人は、重量指定可能なショップで一本選んでみてください。
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